メガフロートQ&A
3. 浮体の特徴

3.1 環境にやさしい

Q:「環境にやさしい」ことの具体的内容は?

 埋立方式では、

・海洋生物の生産の場を消失します。
・流れを変えて周辺に大きな影響を及ぼします。
・現状復帰が不可能です。(海が戻らない)

 ですが、浮体方式ではいずれも問題は有りません。浮体方式の場合は、浮体下に流れが有るため、環境への影響は非常に小さいと言えます。

項目
説明
流れ 浮体は流れに対し、ほとんど影響を与えません。浮体下、周辺には十分な流れが存在します。
水質 流れがあるため水質(水温、塩分、溶存酸素量等)は浮体下と浮体外とでほとんど差がありません。
プランクトン 植物プランクトンは浮体下では光合成を休みますが、浮体を出れば流れに乗って再び活動するので死滅することはありません。従って、動物プランクトンにも影響なく、生態系に顕著な影響はありません。
底質 浮体下には流れがあるため酸素も流入し、自然浄化のサイクルが期待できます。このため、浮体下と浮体外で底質に大きな変化はないものと考えられます。
底生生物 水質、底質とも浮体下と浮体外の差があまりありませんが、一部、浮体から脱落した付着生物及びその死骸が混在する個所があります。
3 .2 地震に強い

Q:なぜ地震に強いのか?

 メガフロートは浮力で支えられており、水平地震力は地盤に固定している係留ドルフィン、フェンダー(緩衝材)を通じて間接に伝達されますが浮体とフェンダーの空隙とフェンダーの変形により衝撃荷重となりません。鉛直地震力は海底の上下動が浮体下の海水を介して浮体に伝わります。従って、地震の影響は軽微で、阪神淡路大震災においても浮体の地震被害はありません。

Q:地震に強いことの利点は?

 埋立との比較において、下記が言えます。

(1)地震への応答が小さいことにより、上載施設(建築物)の構造の簡略化が可能です。
(2)埋立では下記の地震対策コストが必要となります。
 ・護岸の耐震性向上
 ・埋立地液状化対策

 浮体式ではこれが不要です。

3.3 内部利用が可能

 浮体は箱形構造となっており、内部空間の利用が可能です。

(1)倉庫、駐車場、貯水タンク、設備室等を浮体内部に収容すれば、上屋施設(建築)の縮小が可能となり、トータルの建設費の低減が図れます。

(2)内部空間の利用および形状の自由度が高く、浮体面積を小さくすることが出来、ついては、海域の占有面積を少なくして、海洋への影響を少なくできます。場合によっては、占有水域面積の低減により、漁業補償費の軽減も考えられます。

3 .4 短納期

 浮体はユニットを造船所で製作し、洋上接合により建設することから現地工事期間を短縮することができます。工期短縮により、

・建設期間の金利負担の軽減
・設置後すぐの供用が可能で、タイムリーな供用開始が出来ます。

試算例
 用途:コンテナターミナルおよび一般埠頭
 規模:600mx350m(21ha)
 海域条件:水深8〜10m
 工期 埋立方式5〜6年
     浮体方式2〜3年

3 .5 拡張、分割が可能

 メガフロートはユニットを合体させて必要なスペースを創ります。
・利用状況、増加に合わせた段階的増設を計画することで、初期投資の軽減が図れます。

3 .6 移動性

 移動,再設置が容易に出来るので、次のような経済的メリットが有ります。
・需要、必要性に合わせての移動、再設置(水上ホテル、防災基地、イベント会場等)
・使命を終えれば撤去(スクラップ等)して、元の海に復帰できます。

3 .7 環境アセスメント

Q:メガフロートは環境に優しい工法と聞きますが、環境アセスメントへの対応は? 漁業補償費は埋立工法に比べて安くなるのか?

 例えば、埋立区域の面積が50haを越える公有水面の埋立の場合は環境アセスメントの実施が義務づけられています。環境アセスにおける環境評価項目については、事業内容、地域、海域などの事情により対象項目をピックアップすることになります。浮体工法の場合では、その特徴から、

土砂の移動のないことから陸域のアセスメントの必要がないこと。海域の表面のみを使用するため、海中、海域がそのまま残ることにより、海域保全の評価に有利となる。一方、

(1)潮流変化の影響
(2) 付着生物の影響

などは追加要素になります。

 メガフロートの特長である内部空間の利用を図れば、浮体面積を小さく、ついては(埋立に比べて)占有海域面積を小さく出来、その分漁業補償費は低減可能です。

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